わたしは実家で柴犬を飼っている。名前は蘭。通称らんてぃんだ。彼女は今年で5歳になる気分屋で、たまにちょっぴり凶暴な女の子。今日はそんな、らんてぃんとの山に関するプチ思い出話を書こうと思う。
先日、わたしは週末登山に行くために、実家近くのレンタカー屋さんを予約していた。そのため、仕事終わりにザックを担いで帰省した。帰省といっても電車でせいぜい1時間半だが。
登山備品を持って実家に帰ると、8キロもある彼女がものすごい勢いで突進し、喜びを全力でぶつけてきた。危うく階段から滑落するところだった。(ふぅ)しかし、20秒くらいすると彼女の喜びの熱はいきなり冷める。さすが柴犬。
まぁ、そんなことはもう慣れているので、この際たいしたことではない。今度はわたしが担いでいるザックに気付いたようで、興味津々に登山備品を嗅ぎ始めた。
ともあれ、一度ザックを下ろし、一息つく。そして興味津々ならんてぃんを横目にパッキング(荷造り)し直すために全ての荷物を出す。忘れ物などがないか並べて確認するためだ。ちなみにこのとき、らんてぃんは自分のために荷物を並べてくれていると思ったようだ。
ここからは、しばらく自称(?)警察犬らんてぃんによる手荷物検査が始まる。気が済むまで検査させるのがポイントだ。
なぜなら、凶暴になるからだ…。(コッソリ)
そして一通りの検査が終わったようだ。しかし、何か言いたげな顔をしているではないか。
……‼︎そう、らんてぃんは、わたしの貴重な食料を「よ、こ、せ」と言っているのだ。
らんてぃんの目からはものすごい圧力というか殺気を感じる。しかし、ここだけはわたしも譲れないポイントなので早々にテーブルの上に退避させる。
こればかりは流石にもらえないと悟ったのか、また荷物を嗅ぎ始める。結局この日は、気が済むまで30分くらい検査を受けた。そのあとは、特に何かを没収(強奪)されることなく検査は無事に終了した。
後日また、ザックを持って帰省し、わたしはパッキングし直していた。その時も、らんてぃんは匂いを嗅いでいたのだが、前回のような興味はもうなくなってしまったらしい。
と、思っていたのだが、少し目を離した隙に、次はザックに入りたいと思ったのか、彼女は静かに登山備品になっていた。
やはり斜め上を行く、らんてぃんなのであった。
〜追伸〜
わたしは彼女を山には連れて行かない。なぜなら、過去に山に連れて行って一歩も歩かなくなったからだ。ちなみにそういう現象を柴犬飼い主界隈で「不動柴」と呼ぶ。
それでは、また。