『YAMAを綴る』

休日は気ままに、各地の山へ行く会社員。

山で「ほんとの空」に出会った日

 

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山に行きたくなる瞬間がある。

社会人5年目。世の先輩方からみたら、きっとまだまだヒヨッ子だ。しかし、そんなヒヨッ子でも働いていれば、それなりにいろいろあり、そして思うことはあるのだ。(ドヤッ)

  "どうしようもないことは、
      何をしたってどうしようもない。"

「そう思えたらいいのにな」と、いつも思う。日常生活で、どうしてもうまく割り切れなくて、暫くうじうじしてしまうことがある。正直、そんな自分があまり好きではない。

でも、山においては少し考え方が変わる。たとえ仕事終わりに夜通し運転しても、いきなり天候が変わっても、やむなく下山せざるを得なくなっても、「こればかりは、どうしようもない。」と素直に思える。不思議と納得できるのだ。だから割り切れない時にはとりあえず山に行くようにしている。

ということで、2023年7月26日、ふいに「もうダメだ!!一旦、山でリセットしよう。」と思った。(話すと長くなるので理由は割愛。笑)そして、そういう時はだいたい比較的遠くへ行きたくなる。ともあれ、行きたいと思った瞬間にはもう、わたしのなかでは行くことは決まっている。なので昼休憩中に翌日の有給申請を出した。

さて、今回登山するにあたり条件は3つある。

①今夜中に夜行バスに乗れる行き先であること

②翌朝、公共の乗り物で登山口まで行けること

③明日中に新幹線で帰ってこられること

ついでを言うのであれば、まだ行ったことのない山に行きたい。ということで、さっそく行き先を探した。

いくつか候補を考えて最終的に2つまで絞った。1つ目が、伊吹山。名古屋駅まで行ってしまえば、あとは近くからバスが出ているようだ。2つ目が安達太良山。福島駅まで行けば、電車とバスを乗り継いでアクセスできる。色々と検討した結果、今回は安達太良山に行くことにした。

そうと決まれば、早々に仕事を切り上げさっさと帰宅する。そしてパッキング開始。最終電車で都内のバスターミナルに向かった。

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バスの座席は隣の人と程よく距離が保たれており、休憩中にいきなり電気が付いても「目がァァァアア!!」とならぬよう日差しのようなものが付いていた。ということで、快適な睡眠とともに福島へ向かった。

朝、定刻通りに福島駅に到着。電車の時間まで少し余裕があったので近くのガストに一旦避難。そこで、しっかりエネルギーをチャージする。こういうときは決まって米だ。今回はリッチに納豆も付けちゃったりして。無事にお腹も満たされ、ちょうどいい時間になったので駅まで戻り、電車に乗る。当たり前だけど、福島の方は山手線のような頻度で電車は来ない。つまり、乗り遅れたら…終わりだ。乗り間違えぬよう細心の注意を払った。

まず、福島駅から二本松駅まで向かう。そこからバスに乗り換える。二本松駅から奥岳登山口行きに乗車する。そこから暫く、バスの車窓から見える景色に癒されていた。

とっても良い景色だった。↓f:id:Mayuko_m:20231223080014j:image

登山口についてからはロープウェイのチケットを購入し、いっきに標高を上げる。ワクワクしてきた。

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さぁ、登山開始だ。まずは、背丈より少し高い木々の間を歩く。すると、ひらけた場所に出た。何やら標識のようなものが立っている。近くに行ってみてみると、そこには…!!!

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「この上の空がほんとの空です。」

これには衝撃を受けた。生まれて28年間、わたしが見ていた空とは、はたしてなんだったのだろうか。少しの間、この言葉がどういう意味なのか考えてみた。…うん、答えが出そうになかったのでGoogle先生を頼った。(こういうところは諦めが早い。笑)どうやらこの言葉は、高村光太郎さんの詩「智恵子抄」で智恵子が言った言葉だそうだ。福島出身の知恵子が東京へ出てきて、阿多多羅山(あたたらやま)の綺麗な景色を思い浮かべて言ったらしい。

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たしかに、安達太良山の空は本当に綺麗だった。

そんなほんとの空とともにまた、わたしは歩き出した。暫く木々の間を歩く。天気も良くて気持ちがいい。少しして、視界がひらけてきた。

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ワクワクする。徐々に心拍数が上がっていく。きっとこの先に絶景が待っている…。そんな気がしていた。

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まるで、日本じゃないみたいだった。

ちなみに、この大きなクレーターは明治33年の大爆発によってできたものらしい。しかも、今もなお活火山だそうだ。たしかに、硫黄の匂いがした。

この後、テンションが上がりまくって色んなポージングで写真を撮った。f:id:Mayuko_m:20231223100407j:imagef:id:Mayuko_m:20231223100416j:image
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にしても、浮かれ過ぎだ。笑 ここまで爆裂にテンションが上がったのは久しぶりだった。恐るべし安達太良山の絶景!この後、満足いくまで写真を撮ってわたしは、安達太良山を後にした。

あらためて、今回の山はほんとに景色が良かった。むしろ壮大だった。夜行バスに乗って遥々、福島まで来てよかった。やっぱり山は行きたいと思ったときに行くもんだなと思う。ここ最近のモヤモヤが、登山中はどこかに飛んでいった。

きっと、日常生活から少し切り離した場所に身を置くことがわたしは大事なんだと思う。

だから、どうしようもなくなったときには山に行きリセットする。きっとこれからもそうするのだと思う。

そんなこんなで、無事にリセットできた私は帰りの新幹線でビールを飲みながらいつもの日常に帰っていったのであった。

それでは、また。

f:id:Mayuko_m:20231223102142j:image山頂の標識で記念撮影(パシャリ)

 

 

 

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