『YAMAを綴る』

休日は気ままに、各地の山へ行く会社員。

極寒の蔵王山に行ってみた件

2月上旬に登った西吾妻山が楽しくて味を占めたわたしは山形県の蔵王へ行ってみることにした。

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2024年2月22日(木)の仕事終わり。一度帰宅し、あらかじめ詰めておいたザックを担ぎ、いそいそと東京駅へ向かった。今回も安定に公共交通機関(夜行バス)を使う。

乗車場所は東京ミッドタウン八重洲地下2階。ずっと都心に住んでいるのだが、東京駅はだいたい迷子になる。なんであんなに複雑なのだろうか。まぁ、毎度のことなので、余裕を持って30分くらい前には東京駅へ着くように向かった。ミッドタウンに向かう途中まではわりと順調で写真なんか撮っちゃったりしていた。

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しかし案の定、迷子になった。やはり東京駅は難しい。とりあえず近くにいた駅員さんにミッドタウンの方向を聞く。少し歩いてから次は警備員さんに聞く。これを何度か繰り返しながら少しずつ目的地に近づいていく。これはバックパッカー時代に異国の地で身に付けた方向音痴なりの生きる術だ。そして出発5分前になんとか目的地(まだ出発地でしかない)に到着した。

ちょうどバスの乗車案内が始まっていた。なんとか間に合って良かった。近くにいたハリーポッターの衣装を着た学生(?)2人はバスに乗り遅れたようだった。余裕を持って行動しなきゃダメだぞ〜。なんて思いつつ、わたしもギリギリだったので人のことは言えない。

さて、そんなこんなで23:15、定刻通りに出発した。無事に乗車でき、安心したからか猛烈に睡魔がやってくる。ということで爆睡開始。わたしはだいたいどこででも寝られるのでこういう時に得してるなぁと思う。何度かサービスエリアでのお手洗い休憩があったようだが、わたしはとくに起きることなく3:00頃まで爆睡をかました。ちなみに、今回はギックリ首対策で首枕を持っていったので快適だった。

明け方、窓からの冷気で目が覚めた。福島県に突入したようで、外の気温が一気に下がったらしい。お手洗い休憩で停車すると一度エンジンを切るのでとっても寒かった。なので夜明けからは寝るというよりは、ただ目を瞑っていただけだった。

6:15頃、無事に山形駅西口に到着した。バスから降りてみると雪が積もっているし、空気がめちゃくちゃ冷たかった。恐るべし東北。

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ここから蔵王温泉行きの始発バスが東口の1番乗り場から6:50に出る。少し時間があったので、朝牛丼でもしようかな〜と思ったものの、バスがわりと並ぶかもしれないのでコンビニでささっと買ってバス停に向かった。

案の定、わりと並んでいた。ボーッと朝ごはんを食べながら乗車の順番を待つ。夜行バス明けのファミチキは沁みた。でも、ちょっと胃もたれもした。

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無事に乗車。ここからだいたい50分ほどバスに揺られて蔵王温泉に向かう。6:00代の始発だったにもか変わらずバスは満車状態だった。ちなみに、満車の場合は臨時便が出ているらしい。

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7:30、無事に蔵王温泉駅に到着。ここから登山口へ向かうロープウェイ乗り場に向かう。

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向かう途中、あまりにも寒くてローソンでモフモフのネックウォーマーを買った。やはり肌の露出は少ないに越したことはない。バス停からは歩いて10分弱でロープウェイ乗り場に着いた。

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ロープウェイは8:30から運行開始なので少し時間に余裕がある。ひとまず、チケット売り場でロープウェイの往復券を購入。料金はなんと3,800円。観光価格で少し痛い出費。確かに周りを見渡してみてもインバウンドの観光客がとても多かった。

ロープウェイを待ってる間、靴紐を締めたりゲーターを装着していたら、近くにいたご夫婦に話しかけられた。その方々は前日に蔵王ライザワールドのゲレンデから熊野岳を目指して登ったが、雪が深くて撤退したとのこと。それで今日、飛行機の時間までに蔵王温泉スキー場のゲレンデから再アタックすることにしたらしい。しばらくの間、パワフルなご夫婦と談笑した。

8:15頃、少し早いがロープウェイの運行が始まった。無事、一便に乗ることができたのでまずは樹氷高原駅まで向かう。

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樹氷高原駅まではロープウェイで7分。リフトやロープウェイを使った登山をすると「文明の力ってすごいなぁ〜」といつも思う。歩けば時間も体力も使うところをほんの数分で上がっていってしまう。登山するからこそ、身に沁みて感じることができるのだと思う。

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樹氷高原駅に到着。この時点で外気温はマイナス10℃。ここからもう一本ロープウェイを乗り継いで地蔵山頂駅(登山口)に向かう。「いったい今日登る山はどんだけ寒いのだろうか…」と少し怯えながら最後のロープウェイに乗車。

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そして地蔵山頂駅に到着。しっかりホワイトアウトしていた。この時点では風はなかったもののマイナス10℃以上なことは間違いない。薄手の手袋では冷気に耐えられそうになかったので、厚手に付け替える。そして9:10、YAMAPを起動し登山開始。

本日の登山ルートは以下の通りだ。行きは青矢印ルートで向かい、帰りは赤矢印のルートで下山する。

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登り始めからしっかりホワイトアウトしていたので適宜GPSを確認しながら登る。まずは、一つ目の山頂である地蔵岳へ向かう。

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10分ほどで地蔵岳に到着。山頂には着いたものの山頂の標識が見当たらない。何組か他の登山客がいたので、一緒に探してみたもののやはり見つからなかった。こういう時はとっとと諦めて次へ向かう。ということで再度歩き出す。次の山頂は本日のお目当てである蔵王山(熊野岳)だ。

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地蔵岳からは30分くらいの距離だ。しっかりホワイトアウトしているのと風が出始めていたため、慎重に向かう。登山道は雪が深いというよりはアイスバーン(凍結)していた。つま先がキンキンに冷えているのを感じる。断熱材の入っている靴ですらとっても寒いのだから、マイナス20℃くらいにはなっていたんだと思う。

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そして二つ目の山頂、蔵王山(熊野岳)に到着した。わたし以外に1人しかいなかった。鳥居がほぼ埋まってしまっていた。やはり雪もそれなりに積もってはいるようだった。

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熊野神社でも記念撮影した。三脚を使い遠隔でカメラ撮影していたのだが、寒すぎてバッテリーが一気に減っていた。それだけ極寒の地。雪山で眠る神社はまるで冬眠しているようだった。例年より降雪量が少なかったからなのか、埋もれていない神社を拝むことができてよかった。

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撮影を終えた頃には三脚もカメラも凍りかけていた。次はここから45分かけて刈田岳に向かう。刈田岳に向かう直線の馬の背は遮るものが何もなく風が吹き荒れていた。

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誰もいない、何も見えない真っ白な直線。そこをただひたすらに歩く。何も見えない空間を黙々と歩くのって怖いんだなと思った。GPSがあるので方向は合っているし、少しずつ次の山頂に向かっていっているのはわかっているのに足がすくむ。こういう時に自分自身のメンタルをいかに保てるかが大切になる。こういう経験ができるのも登山ならでわだと思う。

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そして歩くこと30分。刈田岳山頂にある神社が見えてきた。無事に辿り着いてホッとした。そして同時に少しだけ太陽が出ていて、このわずかな太陽に励まされた気がした。

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山頂到着。わたしの他に1人だけスキーヤーがいた。強風が吹くなか鳥居をくぐり神社へ向かう。

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ここの神社も眠っているようだった。でも、確かにそこに存在していて圧倒的な存在感があった。太陽が見え隠れしている瞬間はとても綺麗で、でも同時に何故か少し怖かった。

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少し休憩がてら神社の脇で風を避けながらおにぎりを食べた。昆布のおにぎりは凍ってしまっていてシャリシャリだったけど美味しかった。

そして身体が冷え切る前に下山開始。下山を始める頃には団体の登山客が刈田岳に到着した。人がいると安心する。人との距離感や人間関係は難しいが、やはりなくてはならない存在なんだと思う。にしても、最後に見た神社は神々しかった。

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下山は来た道をガシガシ戻っていく。行きと違って下山時には何度か登山客とすれ違った。安心感からか自然とペースが上がっていく。そして無事に下山。

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髪の毛やら登山備品やらはしっかり凍っていた。地蔵山頂駅にはたくさんの観光客がいて「あ、日常に戻ってきた」と思った。ここからまたロープウェイを乗り継いで麓まで下山した。

下山してからはルームメイトと合流した。ルームメイトと同じところに住んでいるのに現地(しかも蔵王温泉)で合流するあたりが私たちらしさだと思う。笑

このあとは日帰り温泉に入り、山形駅へ戻った。そして予約しておいた落ち着いた雰囲気の郷土料理のお店にいき美味しいごはんとお酒を嗜んだ。

翌日はホテルの郷土料理バイキングを満喫した後、もう一度蔵王温泉まで向かい終日スノボを満喫した。4キロコースや8キロのロングコース、樹氷の中を滑走するコースなど、蔵王のゲレンデをとっても満喫できた。

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一日スノボを満喫したあとは、また日帰り温泉に入った。そして山形駅まで戻り、ご飯を食べてから新幹線で帰路に着いたのであった。

山に行くたびに感じたり、振り返ったり、学んだりすることがたくさんある。山はさまざまな方法でわたしを成長させてくれる。これだから登山はやめられない。わたしはまだまだ登ります。それでは、また。

 

 

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