『YAMAを綴る』

休日は気ままに、各地の山へ行く会社員。

修行のような登山だった件

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久々、修行のような山に行った。

2023年1月6日(土)、わたしは早くも年明け2座目の山に向かっていた。今回登ったのは埼玉県の秩父にある百名山のひとつ、両神山(りょうかみさん)だ。この山は山岳信仰の霊峰とされている。

山岳信仰の霊峰とは…神仏などを祀っている、いわば神聖な山ということ。

この日は公共交通機関で向かった。まず最寄りから、所沢駅まで行く。次に特急に乗り西武秩父駅まで向かう。(特急券は600円で事前ネット購入可)

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車内では事前に買っておいた朝ごはんを食べた。朝7時過ぎの特急にはゴルフに行く中年層の方がわりといた。そして朝から車内で酒とつまみを出して宴会をしていた。(わたしも朝からスト缶が飲めるくらい胃腸が強くなりたい。笑)

電車に揺られること約1時間。西武秩父駅に到着。ここから次はバスに乗り換える。駅を出ると目の前がバスロータリーになっていた。

とりあえず人の流れる方へ向かった。そして近くにバスの案内係の人がいたので登山口行きのバスを確認する。教えてもらったバスはすでに停車していて、町が運営しているバンのようなバスだった。乗車する際に、運転手さんに再度行き先を確認する。

これはわたしのバックパッカー時代の癖なのだが、慣れない土地でバスに乗るときは、たとえ行き先が合っているであろうバスであっても必ず運転手に声をかけるようにしている。そうすることで乗り過ごしかけたりすると、運転手さんが声をかけてくれるからだ。

バックパッカー時代の経験がこうして今も生きているのだがら、やはりあの経験は大きかったのだと思う。

バスが定刻通り出発した。このあと別のバスに乗り継ぐ予定だ。ここから次の乗り継ぐバス停まで約1時間。車内は5人くらいしか乗っておらず、信号もない田舎道をエンジンを唸らせながらひたすら走る。

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バスの中では、寝ようかなと思ったもののYAMAP(山アプリ)のデータを整理してたら目が覚めてしまい、この後はひたすら過去の登山記録と向き合っていた。

そういえば、登山口へ向かうバスといえば、運賃が少し高めなのだが、このバスは乗り継ぎ先のバス停までなんと500円だった。(支払いは現金のみのため小銭を用意を推奨)登山は移動費が結構かかるのでありがたい。

そして走ること1時間、定刻通り乗り継ぎ先のバス停に到着した。(薬師の湯駅 終点)ここから登山口まで向かうバスに乗るのだが、下車する時に運転手さんが「両神山行くなら」と乗り継ぎ券とパンフレットをくれた。

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登山口へ向かうバスが来たので乗車する。先ほどの乗り継ぎ券を出したらなんと、乗り継ぎ後のバスの運賃が無料だった。(乗り継ぎ券…神過ぎないか⁈)

ここから40分くらいバスに乗る。このバスも途中で停車することもなければ、道中にほとんど信号もなかったのでとても快適だった。そして今日は少しキツめの登山になりそうだったので、寝はしなかったものの目をつぶって終始バックパックに寄りかかっていた。心地の良い揺れを感じながらゆっくりしていたらあっという間に登山口に到着した。

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午前10時。いよいよ登山の始まりだ。靴紐を締めて身を引き締める。帰りのバスは最終17時10分になるので終バスに遅れないよう気をつけて登らなければならない。(バスでアクセスする人が少ないのはバスの時間がわりとタイムリーだからなんだと思う)

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いざ、出発。

そういえば登山口を通過するときに集計用のカウンター(通行量などを測るやつ)が置いてあった。近くには『登山人数集計にご協力ください』と書かれた案内文。わたしが押したときはたしか500番台だったが、あれはいつからカウントしているんだろう…。

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登山道は自然の地形をそのまま生かしたような道だった。10時過ぎだったが山と山の谷間を歩いてるからかあまり明るくはなくひっそりした印象だった。

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最近は景色の開けている山だったり、わりと登山客がいる山に行く機会が多かったので、静かな山は新鮮に感じた。

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そしてこの日は風もなく鳥のさえずりがずっと聞こえていた。あと自然豊かな山だからか野生動物の💩がたくさん落ちていた。笑

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それと、ここの登山道はわりと大きめの石が落ちていたのだが、大量の枯葉で足元が見えず、その点は少し怖かった。

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しばらく歩いていると川が出てきた。ひっそりと山の中を流れる川。きっと野生動物達の憩いの場になっているんだろうなと思いながら、川の上流に向かって黙々と歩く。わりと傾斜のある道が続く。

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登り始めて1時間半。清滝小屋に到着。ここの山小屋はかつて営業をしていたようだが、現在は避難小屋(無人)になっている。小屋の中は見なかったが、外観を見た限りわりと綺麗だった。そしてYAMAPで他の方の登山記録を見ていたところ、たまに宿泊している人がいるようだった。

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山小屋を越えてからまた急所が続く。ここまでとくに眺望もないため、ただひたすら傾斜と向き合う時間が続く。しかも道中は電波も遮断されていたので本当に自分と向き合うほかなかった。集中力が切れないように一足一足に意識を向け登っていく。

ここら辺でたまに登山客とすれ違った。みなさん下山していたので、きっと車で来られた方々なんだと思う。ペアで登山をしてる人とすれ違った時に何気ない会話している姿を見て、今日は少しだけ羨ましくなった。

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ともあれ、ソロはソロで心身を鍛錬できる!ということで、黙々と登り続ける。そして「鈴が坂」に到着。事前調査によるとここら辺も急所ポイントらしいので再び身を引き締める。

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山小屋を越えてからは、もう少しで景色が見えそうな感じがあるのに、いくら登っても何も見えない。きっと、こういうところもメンタルを削られた理由の一つなんだろうなと思いながら登った。

その後、なんだかんだ40分くらいで無事に両神神社に到着した。神社の鳥居をくぐったときに、すごく神聖な感じがした。メンタルは削られるわ、急所が続くわでボロボロだったけれど、この神社に着いた瞬間、素直に「あ、登ってきて良かったな。」と思えた。

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神社からは大体20分ほどで山頂に着く。山頂付近の登山道は少しだけ凍っていた。念の為にチェーンスパイクを持参していたがこの日はとくに必要なかった。

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道中にもわりと鎖場があったけれど、山頂間近にも鎖場が出てきた。「あと少し!あと少し!」と鼓舞して登っていく。
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ラストの鎖場が出てきた。そしてやっと青空が見えてきた。(ここまでほんとうに長かった)今日はきっと山頂で両神ブルーが見られそうな予感。ワクワクしながら最後のチカラを振り絞って登っていく。

そしてついに…

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山頂到着〜!コースタイム2時間50分。

苦労して登り、やっとの思いで山頂の標識を見たときの達成感はいつも本当に最高だ。この言葉に尽きる。とくに両神山はなかなかの修行山だったので山頂に着いたとき、いつもより達成感があった気がする。

ちなみに山頂はウワサに聞いていた通り本当に狭くてゆっくりする場所はあまりなかった。しかし、すでに下山している人たちが多かったからか山頂は空いていてわたしの他に1組しかいなかったので、ザックを降ろして菓子パンをかじる。

…うんまい。めちゃくちゃうまい!

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山頂は景色も開けていて山々を一望できた。山頂まで眺望はお預けだったけれど、菓子パンをかじりながら見た景色はご褒美の如く最高だった。

そして15分くらい休憩したので下山を開始する。山頂では長居しない。わたしのマイルールだ。先ほど一生懸命登ってきた道を一瞬で降りていく。登っているときは「下山もこの長い道のりをまた通るのか〜」なんて思っていたけど、あっという間だった。

そして登山口目前でふいに山の斜面に映る自分の姿を見つけたのでおもわずパシャリ。

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無事下山した。コースタイムは1時間30分で、なかなか良いタイムだったと思う。そして登山口にあった山荘で登山バッチとサイダーを購入した。

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山荘のおばさんと少し話をしたんだけど、少し前に雪が降ったらしい。今年は全然降っていないとおっしゃっていた。きっと例年はここら辺も雪景色になるのだろうなと思った。

最終バスの一つ前15時10分発に乗ることができたので、先ほど同様にバスを乗り継いで西武秩父駅に向かう。(もちろんまた、乗り継ぎ券をもらった)

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そして無事に西武秩父駅に到着。駅前にある「祭りの湯」に行く前にお腹が空いていたので、駅横のお土産屋さんコーナーあたりで玉こんにゃくを食べた。

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この玉こんにゃくがしっかり出汁が染みていてボリュームがあって最高に美味かった。これはいつかまたリピートしたい一品だった。

お腹も満たされたことなので駅前の温泉で汗を流してしっかりと温まった。いうまでもなく最高だった。そして最後、電車に乗る前に軽く一杯飲んで無事に帰路に着いたのであった。

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今回の山は、修行のような山だった。でも静かな雰囲気の中で黙々とキツめの傾斜を登り、結果として自分と向き合うことができたんじゃないかと思う。なので今回もやはり良い登山だった。訪れる山や訪れる時期によって山もわたしも変化していく。だから登山は面白い。両神山にもまた、いつか登りに来ようと思う。

それでは、また。

『山に関連するお話を綴る』