ここ最近、なかなか山に行けていなかった。もうそろそろ『山がわたしを呼んでいる(いや、お前が呼んでるんだろ!)』ということで4月28日(日)、久しぶりに行ってきました。
さて、久しぶりの登山はいったいどこに行ったのかと言いますと…
富士山です!(ドドーン!)
そして今回はなんと、いつもの五合目からのスタートではなく、一合目からのスタートです。水ヶ塚公園から森を歩き、宝永山を通り六合目辺りから富士宮ルートで山頂へ向かうコースにしました。
今回は車を貸してもらえるということで前日から実家にステイ。適当に詰めてきた荷物を一回出してパッキングし直す。そして今回も安定に愛犬のらんてぃんが登山ギアに紛れてる。
連れていって欲しいのか、ギアが欲しいのか、食べ物を横取りしようとしているのか、彼女の真っ黒な瞳が何かを訴えていた。笑 でもわたしは絶対に彼女を登山へは連れて行かない。なぜなら…過去に山の中で不動柴(突如訪れる何をしても微動だにしなくなる柴特有のわがまま)になったからだ。
↑不動柴発動中。この後入山5分で下山するハメに。
ということで、らんてぃんはパッキング(?)せずに無事準備完了。そして少し仮眠を取ることに。
午前1時、いざ、水ヶ塚公園へ出発。今回は片道100キロもないくらいだったのでルンルンで運転。途中でコンビニに寄ってホットコーヒーを飲みながら順調に向かう。あっという間に水ヶ塚公園手前まで着く。
しかし、ここからは少しだけ注意が必要で、野生動物が飛び出してきたりする可能性があるからだ。今回は動物に遭遇することなく午前3時、無事に到着。夜中からスタートする人もチラホラいて、あの森の中をヘッドライトで歩く勇気はないなぁ…と思いながらぼんやりと眺めていた。そして少しご飯を食べたり身支度を整え午前4時、スタートをすることに。
↑いや、まだだいぶ暗くないか…笑
遠くの空は少しだけ色付いているもののまだまだ全然暗闇で、たまに遠くの方でフクロウの鳴き声が聞こえてくるしで、登山口で早くも心が折れそうになるわたし。笑 近くに別のソロの方がいて、あわよくば近くにいたいなぁと思っていたが、なかなかスタートしそうになかったので先行することに。
夜明け前の森の中はやっぱり静かで、たまに鳥のさえずりが聞こえてくるもののまるで森も寝ているようだった。ヘッドライトで足元を照らしながら少しずつ進む。30分くらい暗闇と格闘したところであたりが明るくなり始める。そしてついにご来校。
やっぱり陽の光を見るとホッとする。無事に朝日を拝めたことで少しだけ元気になり、ガシカジと登っていく。森の中からはあんまり富士山は見えず、本当に五合目に辿り着けるのだろうかなんて一抹の不安と戦いながら登ること2時間。ついに富士山が見えた。そしてあたりの視界が開け、宝永山が目の前に。
同じような景色の中をずっと歩いていたので、景色が開けた瞬間は小声で「よしっ!」とガッツポーズ。そして振り返ってみるとかなり遠くにポツンと駐車場がある。2時間でだいぶ歩いてきたんだななんて思いつつ、目の前にそびえ立つ富士山を眺め「わたしはこれからあそこを登るのか」と現実にかえる。(真顔)
いつもならばここらへんの標高からスタートだけど、今回はここまで登ってきてやっとスタート地点に立ったようなもの。疲労が少しだけある中で残雪期の富士山に登るわけだから、一層身を引きしめて歩みを進めた。
ここからは一旦左にそれて六合目の山小屋を目指す。あっという間に到着。ちらほら登山者が見えたので少しだけホッとする。そして山小屋を通過しようとした時に、休憩中のソロの男性に遭遇する。挨拶を交わしつつ「どこから登ってきたの?」と聞かれたので、「水ヶ塚駐車場からです」とお答えする。すると「わ、体力あるねー!」と。…褒められて伸びるタイプのわたしはここまでの道のりの疲労が吹き飛ぶ。(単純)
そして同じタイミングで登り始める。すると前回の富士登山の際にもお会いしたある方に遭遇。相手は覚えてはいなかったようだけど、前回と同じ質問をされ、毎回登山者には同じ質問をしてるんだろうな〜笑 なんて思いつつ受け答えをした。にしても、お喋りがかなり好きなようで終始ずっと喋っていたのがとても印象的だった。でも、富士山に1000回以上登っているとのことで本当にすごいなとつくづく思った。
しばらくお話していたけれど、自分のペースで登っていきたいなと思い、さりげなく先に進むことにした。
そんなこんなで六.五合目付近に到着。ここから雪がしっかりと残っていて、例年より気温は高いといえど、やはり富士山は標高が高いんだなと改めて実感した。そして先ほどまでの晴天が嘘のように霧に包まれる。
どんなに晴天でも、いきなり天候が変わるのが雪山であり高山。じきに雲が抜けることを願いつつ黙々と登り続ける。
気がつけばあっという間に七合目に到着。少ししてから先ほど六号目で褒めてくれた方が到着し、お互いの健闘を讃え合いがてらグータッチをした。そして八号目付近に到着。依然、まだ雲は抜けない。
そういえば、スニーカーで半袖ハーパンの外国人の方がここまで上がってきていて、そのスピードと身軽な格好に驚いた。普段から高山に登っているのかなぁ、なんて思った。そして、ここでまた、先ほどの方が少し遅れて到着したので、再度グータッチで健闘を讃え合う。その方に「本当に、体力がすごいね」と再度お褒めの言葉をいただく。…調子に乗ったわたしは、また体力が回復したのであった。(単純)
そして九合目に向けて歩き出す。少しずつ雲が抜け始めてきた。先ほどより視界が良好になり、山頂の鳥居が見えてきた。
しかし、富士登山は山頂が見えてからが遠い。歩けど、歩けど近づいている気がしない。というのも、おそらく疲労と標高が高くなったことで酸素が薄くなり歩幅とペースが落ちるからだと思われる。しかし、どんどん青空が見え始め、"一合目から頑張って登ってきたんだから、あと少しがんばれ!"と言わんばかりに青空が背中を押してくれる。そしてついに、完全に青空になった。
雪と青空のコントラストは本当に綺麗だった。しかし、太陽の日差しと雪からの反射で、ものすごく暑かった。(後にこの日差しにわたしはやられることになる)ここらへんで、グータッチの方(勝手に命名)とバックカントリーの方と斜面で少しだけクールダウンすることに。グータッチの方は100名山をすでに85座登っているらしく、かなりベテランハイカーらしい。でも、過去に滑落したことがあるとのことで10メートルくらい崖から落ちたものの自力で宿泊予定の山小屋まで行けて大事には至らなかったと。やはり、どんなに経験豊富な人でも少しの気の緩みであったり、コンディションなどが事故に繋がってしまうんだろうなと改めて思った。
…にしても、山に関するエピソードが本当に豊富で、過去に山道を運転中にシカにぶつかって車が廃車になった話など本当に面白かった。そしてそんなこんなでいい感じにクールダウンできたので再びてっぺん目指して登り始める。
八号目からは謎にアドレナリンが放出されまくっていたのかあまり疲労感は感じず、あっという間に九号目に辿り着いた。そして、そのまま九.五合目まで登ってきた。…あれ、このまま上までいけるかも?と思い、休むことなく上がることにした。そしてあっという間なのか、やっとなのかついに鳥居が目の前に。
いつ見ても迫力があるが、とくに残雪期は、迫力が何倍にも増して見える。鳥居の前まで行き、お辞儀をしてからくぐる。今回も無事に山頂まで上がってこられた。少しだけホッとする。山頂のお店や山小屋はまだ雪の中に眠っていた。
写真を撮りつつ、これから本当の(?)山頂である剣ヶ峰へ向かうことに。すると、これから下山するお兄さんに遭遇した。会釈して通り過ぎようとしたところ声をかけてくれた。インスタのフォロワーさんとのことで、朝のストーリーを見ていたらしく声をかけてくれた。知っている人や知ってくれている人に偶然会えるのはやはり嬉しい。気をつけて降りてくださいね、とお声掛けしわたしは剣ヶ峰へ向かう。
すると、先ほどのお兄さんがもう一度声をかけてきた。どうやら携帯のバッテリーをどこかで落としてしまったらしく、もし見つけたら…とのこと。見つけたら連絡しますね、とお伝えしお別れした。
そして剣ヶ峰を目指す。火口は所々雪解けしていて岩肌が見えていた。しかし依然としてまだまだ雪は深そうだった。そんな大迫力の火口を横目にしつつ剣ヶ峰へ一歩一歩進んでいく。最後の傾斜へ。
そして、ついに登頂。
一合目から大体8時間半くらいで山頂にたどり着いた。山頂にはすでに何人かが休憩していてバックカントリーの方もいた。五号目の駐車場へ向かうスカイラインは8時開通なのになぜこの時間で山頂にいるのだろう…と思っていたら、どうやら前日のうちに五号目まで車できておき、車中泊するらしい。「お、その手があったのか」と初めて気づくわたし。笑
そして、グータッチの方も無事に山頂へ到着され、最後のグータッチをかわす。その後は山頂の石像で記念撮影!
晴天の富士山頂で満面の笑みのわたし。登ってきた甲斐があり過ぎるくらい天気が良くて、つかれが吹っ飛んだ。
とはいえ、今回は一合目まで降らなければいけないため長居はできない。ということで、おにぎりをひとつ食べ早速下山開始。滞在時間は10分もなかったと思う。笑
山頂付近から見る剣ヶ峰前の斜面もなかなか迫力があった。
バックカントリーの人は剣ヶ峰からスキー板でスイスイ降りていく。うわー、羨ましすぎる…とか思いつつわたしはアイゼンで一歩一歩、降っていく。そういえば、降りる際に見た、鳥居越しの下界がとっても綺麗で思わずパシャリした。
ちょうどわたしが下山し始めたくらいで八合目あたりから登ってきている人がチラホラ見える。みなさん結構しんどそうに登っていて何人かに「あの見えているところが山頂ですか?」と尋ねられた。笑顔で「あれが山頂の鳥居ですよ!あと少しです!」とお伝えする。すると、大抵の人が「良かったー!あれが山頂じゃなかったら心折れてたわ。」と言っていた笑
わたしも初富士登山の時はペース配分やら山頂がどこなのかやらよく分かってなくて、しかもしっかり高山病になっちゃったりして結構辛かったなぁなんて思い出していた。
そして九合目あたりからは人が少ない雪の斜面があったので恒例のシリセードをすることに。(なんてったって今回は下山も長いからね)ところどころにクレバスがあったのでスピードを出しすぎないように滑っていく。途中でバックカントリーの人とすれ違い「あっちはまだまだ雪の斜面ありますよ!」なんて滑り仲間として(?)、教えてもらったもののお尻の感覚が無くなりかけてきたので、一旦歩くことにした。笑
下山は斜面の先に雲海が広がっていて、果てしなく雪道が続いているような景色だった。そんな絶景を見ながらどんどん滑っていく。そしてあっという間に六.五合目あたりまで下山。ここら辺でまた雲の中に入ってしまい視界が悪くなる。そして下山は岩と砂利のような道に入ってしまったため少しペースダウンする。足場の悪い道を残りの集中力を振り絞って黙々と降りていく。そして、宝永山まで無事に戻ってきた。
さらにガシガシ降っていると近くで何かが動く気配がし、見てみると…
宝永山あたりで野生のシカに遭遇。こんなところまで登ってくるなんてハイカーじゃん。とか思いつつ記念にパシャリして驚かさないように通り過ぎた。
そして、下山はここからが長かった。普段ならもう五合目の駐車場だが、今日はここから一合目まで森の中を歩いて行かなければならない。最後まで気を抜かぬように歩きつつも少しだけ集中力が低下しているのを感じる。"あと少し、あと少し"と頭の中で唱えながら2時間で無事に駐車場まで下山した。
下山してから改めて富士山を見てみると、結構遠くに位置していて、我ながら良く歩いたなぁと感心しつつお腹が、空いていたのでカップ麺をすすった。下山後のカップ麺はそりゃぁもう…最高だった。
ちなみにこの駐車場から山頂までは標高差が2350mある。日本の標高差ランキング一位は上高地にある剱岳で約2250mだ。ということは、わたしは今日の登山で日本一の標高差を超えたということになるらしい。ということで、今日は頑張った自分の健闘を讃えてビールを飲んでから寝ることとしよう。(いつもだろ)
今回は久々に修行のような登山で、いいメンタルトレーニングになったと思う。この経験はわたしの登山経験値を上げていくだけでなく、きっと日常においても色々と役立つ瞬間があると思う。山を通して人生の経験値を高めていけるから登山はやめられない。
帰りは無事に渋滞に巻き込まれ睡魔と戦いながら帰路に着いた。今回も総評すると本当に楽しい登山だった。それでは、
〜追伸〜
翌日、耳が熱いなと思い見てみたら右耳がめちゃくちゃ水脹れになっていて熱を帯びて真っ赤になっていた。皮膚科に行ったところ重度の日焼けによるやけどとのこと。顔や首周りには日焼け止めを塗っていたが、耳にまでは塗っていなかったので次回以降はしっかりと耳もケアしていこうと思う。また、ひとつ勉強になった。
それでは、また。