巡礼30日目。昨夜に起こった悲劇(?)事件(?)から綴ります。
昨日は久しぶりのシングルベットだったこともあり 21時過ぎにはベットに入りゆっくりとしていた。「少し暑いなぁ」なんて思いながらも、22時過ぎに就寝した。
そして夜中1時頃、暑さと手のひらの痒みで目が覚めた。手のひらを確認しようと思い、携帯のライトで照らしてみると、ふと石造りの壁で何かが動いたのを感じた。コンタクトを入れていなかったので、ライトを照らしながら壁に顔を近づけてみる。すると…なんとそこにいたのはベットバグだった。(震える)
実際にベットバグを目視で確認したのは初めてだったので一瞬でとても怖くなり、持っていた荷物を全て持って一旦共有スペースに避難することにした。
そして荷物をまとめて移動する時に自分が寝ていたベットを照らしてみると、そこにも一匹バグがいた。
もう、怖さ&不安でいっぱいになった。しかし、他の巡礼者は寝ていたので「この宿、ベットバグの館だぁああ‼︎」と心の中で悲鳴を上げながら急いで共有スペースに移動したのであった。
そして、共有スペースの机の上で、寝袋の中にベットバグがいないか恐る恐る確認してみる。すると…
一匹だけ入り込んでいた。これだけプロテクトバグを徹底してきたのに、まさか寝袋にまで入り込むとは…。この時に「あ、絶望ってこういうことを言うんだな」と一周回って冷静に思った。
その後は、ザックの中身を全て出してから中を念入りに確認。幸いにもザックやそのほかの荷物は無事だった。(衣類はジップロックで小分けにしてた)そして念には念をということで、そのあとは3回くらい追加で寝袋を隅々まで確認したのちに熱消毒すべく乾燥機にかけた。
にしても後少しで巡礼が終わるというクライマックスで、まさかベットバグの館に迷い込んでしまうとは思わなかった。笑「なんだかついてないなぁ」と思いつつ、とりあえず夜中ですることもなかったのでお母さんに電話した。そして経緯を話したりして、少し気持ちが落ち着いてきたところで「帰国したら温泉行きたい」という話題になった。
ということで、電話しながらネットで箱根の温泉宿を調べてみる。そしてちゃっかり温泉宿を予約した。笑 と、まぁそんなこんなで新たな旅程を立てていたら乾燥機による1時間の高熱消毒が終わったようなので一旦電話を切って、寝袋の最終確認をした。
ベットバグが完全にいないことを確認し、ホッと胸を撫で下ろした。
そしてこの時の時刻が午前3時。「さぁ、ここからどうするか」ということだが流石にあの恐怖の部屋には戻れないので、共有部にあった椅子で仮眠を取ることにした。
にしても、椅子がかなり硬く快適に寝ることは出来なさそうだった。ということで、せめてもと思い、YouTubeでヒーリングミュージック(癒しの効果がある音楽)を流して、Tシャツを顔の上まで被り寝ることにした。笑(こういう時にどこでも寝られるって強い)
そして4時半過ぎ頃に、韓国人のおじさんが共有スペースにやってきた。「この人、朝早いんだなぁ」なんで思いながら、わたしは引き続き音楽&仮眠を継続。
そして5時過ぎ頃に「そろそろ起きるかぁ」ということで、いつもの準備を始めた。準備を終えてからは昨日買っておいたヨーグルトとバナナを食べた。
ボーッとしながらヨーグルトを食べていると韓国人のおじさんに「なんでここで寝てたの?」と不意に質問された。なので正直に「実はベットバグを見つけちゃって、怖くて寝られなくなったんだよね」と伝える。すると「僕も見つけちゃったんだよね。しかも3匹叩き潰した」と。
「もー、ここマジでベットバグの館じゃん!笑」と思い一刻も早く脱出するべく6時過ぎに宿を出発することにした。そして外に出ると、今日は雨は降っていなかった。にしても、いい感じに雲が出ていて、なんだか不気味な空模様だったのが、よりベットバグの館を際立てている気がする。笑
ともあれ、ヘッドライトを使って歩き出す。今日はあまり睡眠も取れていないので早めに朝食休憩を取ろうと思いながら歩いた。そして少ししてから韓国人のおじさんが追いついてきたのでなんとなく一緒に歩くことに。
夜明け前の森の中をたまに雑談しながら歩いていく。夜明け前に人と歩くのは久しぶりだったのでなんだか新鮮だった。そして気が付けば 一つ目の町、Zas(3.3km)は通過していた。
その後もカミーノの話や仕事の話などをしたり「あの宿やばいよね」の話で盛り上がった。笑
歩き始めて1時間少しが経過していてあたりがだいぶ明るくなってきた。
この辺りから若干、霧雨のような雨が降り始めた。
サンティアゴを越えてからはなかなか天気が優れない日が多い。なんだか日本のようなジメジメ感を感じる。「少しずつ帰国に向けた準備なのか…?」なんて思いながら歩いていく。
そして歩いているとどこかの町を通過したのだが、なんだか可愛らしい鉢植え(?)があった。
今日の天気とわたしの心の天気とは裏腹に、みんなニッコリしていてなんだか不意に笑えてきた。
と、まぁそんなこんなしながら歩いていると一度雨が上がった。そして少しだけ朝日が出ていた。
このタイミングでちょうど二つ目の町、A pena(5.7km)に到着した。
町の入り口にカフェがあったので、いつもより少し早いが休憩を取ることにした。今日も"いつものメニュー"にしたのだが、ジャム&マーガリンがなかったのでチーズトーストにした。
これが意外とうまかった。焼いたパンの上にオリーブオイルがかかっていて、その上にスライスチーズを乗せたシンプルなトーストだったのだが、ここにきて新たなうまい食べ物に出会えた。そしてお腹が満たされてからはカメラを取り出してからまた歩き出した。
歩き始めは少しずつ青空が見え始めていて天気が回復しそうな感じがした。そして太陽が出始めていてなんとも幻想的な感じがした。
にしても久しぶりの一面が畑(とうもろこしかな?)の景色は久しぶりだったので、どこか懐かしかった。
そしてそんな懐かしさを感じながら歩いていると 三つ目の町、Vilaserio(3.8km)に到着した。
そういえば、今日は昨日感じていた脛の痛みが無くなっていた。立方骨(足の外側)は若干の痛みがあるものの昨日ほどではない。ベットバグの悲劇はあったが身体はなんとか回復傾向にあって、自分の身体に本当に感謝だ。笑
そして町を抜けてから歩き続けていると、太陽は見えるもののまた霧のようなモヤに覆われているゾーンに突入した。なので 一旦カメラをザックにしまう。
するとわりとしっかり雨が降ってきた。とりあえずザックカバーをかけ、荷物は濡れないように保護する。そして、自分の身体の方は「もう濡れてしまえ!」と腹を括り雨具などは着ずに、そのまま歩くことにした。
すると、太陽とモヤと雨のおかげで(?)なのか次第に虹が出始めた。
しかも一つではなくいろんなところで。
今日は夜中の恐怖のベットバグに始まり、お母さんとの箱根温泉旅行の予定が決まり、ほぼ睡眠なしの状態で歩き始めて、太陽が出ているのに雨に降られる。そして、かと思えば綺麗な虹を見ることができた。
なんだがその忙しない一日にだんだん笑えてきて、最後まで面白い巡礼だなと心から思えた瞬間だった。
にしても髪の毛から水分が滴るくらいに雨に降られて、もはや面白かったので記念に一枚パシャリしておいた。(雨粒もちゃんと写ってる笑)
その後もしばらく太陽を感じながらも雨に降られつつ歩き続けた。(本当に不思議な天気だった)
そして気がつけば四つ目の町、O cornado(2.1km)を通過していた。この頃にはまた雨が上がり、次は青空が広がり始めていた。(忙しい天気。笑)
にしても久しぶりに自然豊かな道歩いていてとても気持ちがよかった。サンティアゴ以降はなかなか晴れの日に巡り会えないのかなと思っていたので、今日の晴れ間はわたしにとってご褒美のような瞬間だった。
ただ、晴れてきたら次は暑い。笑 と、まぁそんな感じで綺麗な景色に心躍りながら、若干の蒸し暑さを感じながら歩き続け五つ目の町、As maronas(4.8km)に到着した。
ここら辺の町は酪農が盛んなようで至る所に牛さんがたくさんいた。
そして雨上がりのムシムシした気温だと臭いがかなり強烈だった。笑 ここら辺を歩いている時に、韓国人のおじさんに追いついた。「歩くの早いなぁ」と言われた後にまたも少しだけ一緒に歩いた。「日本人の男の子にも会ったけど、彼も歩くのが速かったよ。日本人は歩くのが速いのかな?笑」と聞かれつつ、「彼は猛スピード散歩ヤクザだからね」と心の中で思った。笑 そして、そんな感じで一緒に歩くこと15分ほどで 六つ目の町、Sant marina(1.0km)に到着した。
わたしは、予約している宿がある町まで後1時間くらいで時間に余裕があったので一旦休憩することにした。
そしてカフェに入り、コーラを注文。
やはり歩いた後に飲むコーラはうまい。そして同じテーブルに巡礼者のおばちゃんがいたのだが、トーストを2切れ食べていて、驚くことにマーガリンとジャムを4つも(一切れに2セット)使っていた。いつもトーストを頼む時に「こんなにジャム&マーガリンいらないだろ〜笑」とか思っていたけれど、欧米の人は塗りたくるのがデフォルトなのかもしれないことに気づいた瞬間だった。笑
と、まぁそんな感じで絶妙な文化の違い(?)を感じつつ、巡礼手帳にスタンプを押してもらってから再び歩きだす。
歩いているとまた雲が多いゾーンに突入したものの、特に雨に振られることはなかった。
そして黙々と歩いていると、本日何度も遭遇しているどこかの国の仲良しおじちゃん3人組にまた遭遇した。
なんだか彼らを観察していると、横並びで歩いている時にペースが全く一緒なのか足が綺麗に揃っていた。そして彼らの洋服の色合いといい、足の揃い具合といい、たまに立ち止まってお互いのザックの中の水を取り出しあってる姿といいとても可愛かった。笑
そんなどこの誰かも知らない仲良しおじちゃん3人組を観察しながら歩いていたら七つ目の町、A gueima(2.9km)に到着した。
そしてここの町にも牛さんがたくさんいた。
あと、とくにリードなどに繋がれていない自由なワンコ達がたくさんいて、そのうちの一匹が近くまでやってきた。 なのでワンコに向かって「ハイ、チーズ」といって一枚写真を撮った。
にしても、自ら寄ってきたのになんとも言えない表情をしていて、あとで写真を見返して笑った。笑
そして町を抜ける。この頃にはまた晴れていて、なんだかとっても景色が綺麗だった。
果てしなくどこまでも続いていきそうな景色に雲がかかっていて、空がとても近く感じられた。
そんな大地と空の間を感じながらしばらく歩く。そして町までもう少しということで…
謎の丘登りが始まった。笑 しかし「ここはわたしの得意ゾーンだ!」ということでガシガシと登っていく。
そして登り切ると、
どこまでも続いていきそうな大地を一望することができた。そんな美しい景色に心躍りながらも、登ったら次は降るということで、一気に丘を降りた。
そして、降り切ったところで本日滞在予定の 八つ目の町、Lago(3.7km)に到着した。
宿は町に入ってすぐのところにあった。
この町は本日泊まる宿兼レストランと、その向かいにカフェが一つあるだけのとっても小さな町だ。日曜日は大きな町に行ってもスーパーなどは閉まっているし、明日はやっと海沿いの町に出られるということで、今日は小さい町にステイすることにした。
そして宿に到着。
酪農が盛んだからなのか、宿の前にはわりかし綺麗めな牛のモニュメント(?)が置かれていた。(にしても牛の目がなんとも言えない笑)
宿に着いた時に一瞬だけ「え、わたしって今日牛小屋に泊まるわけじゃないよね?」と思ったけれど、中に入ってみると、とっても綺麗な比較的新しいアルベルゲだった。
トイレとシャワーも綺麗だし、洗濯機や乾燥機も新しかった。チェックインしたのが一番だったのでオスピタレオが「好きなところ選んでいいよ」といってくれたので風通し&日当たりの良そうな場所をチョイスした。(石の壁沿いは避けた)
そして一旦シャワーを浴びる前に、寝袋を再度念押しで確認し、何もいないという安心感を持ってからシャワーを浴びた。その後はいつも通りに洗濯をした。
諸々を終えてからは宿に併設されているレストランでお昼ご飯がてら久しぶりにトルティーヤを注文した。
久しぶりに食べるトルティーヤはもちろん美味しかったけれど、今回のカミーノでのわたしのイチオシはやはりトーストだなと思った…笑
そしてその後はストレッチをしたり、天気を確認したり、少しお昼寝をしたりして過ごした。
なんだか今日の町はとても小さいし、ハエが多いし、風と共にたまに牛の匂いがするけれど、雰囲気がいい町だなと思う。
ともあれ、夜ご飯はもう少ししたら宿のレストランでいただくことにして、今日は昨日寝られなかった分までしっかりと寝ようと思う。(しかも結構涼しいし寝やすそう)
ということで、夜ご飯については明日のブログに綴ることとして、泣いても笑っても後3日で終わる巡礼の一日一日を大切に過ごして行きたいと思います。
あとは、何より昨日のベットバグの館で、あまり噛まれていないことを願うばかりだ。ということで、夜中から色々ありましたが明日も元気に歩きます。
それでは、ブエンカミーノ!