では巡礼28日目、遂にサンティアゴに到着した日について綴ります。
昨夜は程よい気温だったのでとても寝やすかった。しかし近くにいた欧米カップルがずっとイチャイチャしていて、なんだかむしろこちらが恥ずかしくなってきてしまい、寝袋を顔までかけて就寝した。そして夜中に一度お手洗いで目覚めたのの、その後は目覚ましをセットした4時半までぐっすりだった。
そして目覚ましとともに起床。寝ている人もいるのでなにがなんでも一瞬で止める。そのあとはいつものように荷物を共有スペースに移動させ準備を始める。
いつも朝イチはコンタクトを入れるところからはじまるのだが、お手洗いに行きコンタクトを入れていると、なにやらシャワー室の方に誰かがいる気配がする。「…朝から何してんだよ笑」と思いつつ、コンタクトを入れてから、またもなんだかこちらが気まずくなりそそくさとお手洗いを後にした。
そのあとは、なんだかもう一度お手洗いに行くのは気が引けたので、歯磨きと洗顔はキッチンですることにした。しかもここの宿の共有部がセンサー電気なのでたまに動かないと電気が消えてしまう。なので朝から定期的によくわからない挙動不審な動きをしながら身支度を整えた。
そしてとくに食糧などを持っていなかったので、何も食べずに5時過ぎに宿を出発した。
そういえば前回のカミーノの時も夜明け前に歩き始めたのだが、前回はこの時間から歩いている人に出会わなかった。しかし今回は歩き始めから何組かの巡礼者に遭遇した。やはり年々巡礼者の数が増えているのだろう。
と、いうことで他の巡礼者に紛れながら早速森の中を歩く。にしても今日も星空がとっても綺麗で森の中を歩いているときに木々の隙間から見える星がキラキラと輝いていた。「今日は良い天気になりそうだな」と思いながらいつもより少し早めのペースで歩いていく。そして40分くらい歩いたところで 一つ目の町、Amenal(3.3km)に到着。
なんだか少しずつお腹が空いてきた気がするが、今日はサンティアゴまで一気に歩こうと思っているので黙々と歩き続ける。そして一つ目の町を抜けて、また森のような道を通る。にしても前回はあんなに夜明け前とか森が怖かったのに今回は本当に全く怖さを感じない。なのでガシガシとひとりで森の中を進んでいく。
歩いている途中で、久しぶりに野ネズミに遭遇したのだが危うく踏むところで、間一髪でなんとか避けた。夜明け前の森で「びっくりしたぁ!」と一人で叫んだ。
そしてサンティアゴ空港の滑走路脇にある巡礼路を歩いていた時は、飛び立つ飛行機の爆音が聞こえたり、星空に向かって飛び立つ飛行機を眺めたりしながら歩いた。
そんなこんなしていると二つ目の町、San paio(3.9km)に到着。町の中を歩いている時に閉まっているカフェのテラス席で休憩している人を発見。近くを通り過ぎようとしたところ…「マユコ!」と。なんと、韓国のカップルだった。
まさか、このタイミングで会えると思っていなかったのでとっても嬉しかった。そして彼女さんとハグをして再会を喜びあった。そのあとは少しだけ一緒に歩いたものの、依然としてまだ足が痛いらしく「先に行っていいからね」とのことだったので「またあとで会おうね!」といい、自分のペースで再び歩き出した。
そして25分ほど歩いたところで 三つ目の町、Labacolla(2.3km)に到着した。
この頃にはあたりが少しずつ明るくなってきていた。そしてチラホラ巡礼者も見かけるようになってきた。町を抜けてからは地味な傾斜を登って行く。
そして登り終えたところで四つ目の町、Vilamaior(1.3km)に到着した。
定期的に置かれているモホンの数字を確認すると10kmを切っていて、なんだかとっても不思議な感覚だった。ともあれサンティアゴがどんどんと近づいてくるのを感じた瞬間だった。
そしてこの頃にはすっかりと夜が明けて、綺麗なマジックアワーがあたりに一面に広がっていた。
朝から何も食べていないので「流石にお腹空いてきたなぁ」なんて思いつつ、少しの眠気と戦いながら歩いていると、 五つ目の町、Labacolla(2.3km)に到着した。そして同時に朝日が昇り始めた。
なんだか今日はいつも以上に朝日が辺りを明るくしていった気がした。そしてここら辺を歩いている時に少しだけ脛が痛いなと思いつつも歩き続ける。(いつも以上のペースで歩いているからだと思う)
そして、町を抜けて斜面を登り切ったところで、六つ目の町、Monte do gozo(0.5km)に到着した。
ここはサンティアゴの5km手前にある町(?)になるのだが、巨大なアルベルゲがある。(なんと収容人数は800人)30個以上のアルベルゲ棟が設置されていて、なんだかとっても異様な光景だった。
また、この町の名前であるMonte do gozo(モンテ・ド・ゴゾ)という名は「歓喜の丘」という意味が込められている。なぜかというと、この町は少しだけ丘になっていて、そこからサンティアゴの町や大聖堂の一部が見えるのだが、長い巡礼からやっと終着を迎えることができた巡礼者が大聖堂の3本の尖塔を見て歓喜した場所と言われているかららしい。
にしても、もう少し開けた場所で眺めることができるのかと思いきや、木々に遮られてあまり街並みも大聖堂も見えなかった。ということで特に「歓喜」する間もなく降った。笑
とくに歓喜することもなく淡々と降っていくと、すぐに街の端っこに突入した。そして、ここで前を歩いていた巡礼者になんとなくついていったらしっかりと道を間違えていた。笑 なので携帯でルートを確認しながら軌道修正する。正しいルートに戻ったところで日本人の彼に遭遇した。
ということで、巡礼の目的地である 七つ目の街、Santiago de compostela(4.4km)に一緒に入って行った。歩きながら「歓喜する間もなかったですよね〜笑」なんて話していたら「ほんとそれ、というかもはやサイレントヒル(淡々と歩いた丘)だったわ」という意見で激しく同意した。笑
そして町の中を歩いていると、前回のカミーノで記念撮影をした謎の銅像(?)に遭遇。今回もここで記念に一枚パシャリ。
そして再び歩いていると…
サンティアゴに到着したことを告げる街の看板があった。前回はここに巡礼者が残していったものがたくさんつけられていたのだが、綺麗になっていた。ということで、ここでも記念に一枚パシャリ。
そして大聖堂に向かって歩いていく。モホンを通り過ぎるたびに数字がどんどん減っていく。1.9km…1.3km…そして旧市街に突入した。
もうすぐで大聖堂という辺りを歩いているときに、ふと前回ここを歩いた時のことを思い出した。そういえば、あの時は早く大聖堂が見たいという早る気持ちとゴールしたいようなしたくないようななんとも言えない気持ちだった。
そして、そんなことを思い出しながら最後の直線を歩き切り、右に曲がる。すると…
青空を背景にしたど迫力のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂がそこにあった。
6年前に見た景色をまた、今こうして眺めている。しかも前回同様に780kmの道のりを終えて。これは感動…
と言いたいところなのだが、混む前に巡礼事務所で証明書を発行してもらいたいなと思っていたので一枚だけ写真を撮ってササッと大聖堂の前を通過した。笑(記念撮影タイムと感動は後でたくさんできるので)そして大聖堂から5分もしないところにある巡礼事務所に到着。
中はそんなに混んでいないようだったのだが6年前よりハイテクになっていて、入り口にいたスタッフに「そこのパソコンで必要事項を入力して」と言われた。
「なんだか市役所の手続きみたいだなあ」と思いつつ1ヶ月ぶりにパソコンを触る。そしてどのルートを歩いたのかやスタート日、国籍、年齢、巡礼方法などを入力していく。あまりにも久しぶりのパソコン過ぎて、手元がおかしくなったのか危うく国籍をJapanじゃなくてJamaicaにするところだった。笑 にしても、埃まみれのバックパックを背負った人たちがこのパソコンを操作しているって…なんだか笑える。
そしてそのあとは番号がかかれたレシートが発券されるので近くのモニターで番号が呼び出されるのを待つ。なんだがいよいよ、本当に市役所みたいだなと思いつつ窓口が20個くらいあるからか10分くらいでわたしの番号である74番が呼ばれた。(おそらく本日74人目の到着者)
そして笑顔の女性スタッフにレシートを渡し、名前を確認された後に巡礼手帳を渡す。そして、巡礼手帳を確認したのちに「おめでとう」と言って最後のスタンプを押してもらう。そのあとは無料の巡礼証明書と追加で3€を払い、歩いたキロ数が記載された証明書を受け取った。そして証明書を入れる筒も合わせて購入した。
そのあとは向かいにあるフィニステーラ・ムシア用の巡礼手帳やルートマップをくれる事務所に向かったのだが、10時オープンらしくまだ開いていなかった。(着くのが早過ぎた笑)
ということで、一旦大聖堂に戻りしっかりと到着した余韻に浸ることにした。大聖堂に戻ると、まだあまり人はおらず、程よく空いていた。そして証明書を片手に記念撮影。
にしても大聖堂の後ろから太陽が出る直前の時間だったので、とても綺麗だった。
そのあとは広場の地面に座ってしばらくゆっくりとしていた。
なんだか今回の巡礼を振り返ると、始めの頃は日本での登山による足の親指の炎症が悪化して大変だった。そして折り返し地点では食あたりによる高熱が出て死にかけた。そして後半はしばらく胃腸不良にあった。なんだか思い返せば色々あったんだなと思うが、28日間、毎日休むことなく歩き続けてきた結果、サンティアゴに到着することができた。
そして、この巡礼用にハンギョちゃんに買ってもらった靴を見てみると気が付けば色が変わり、一部が剥がれてしまっていた。それを見てなんだかふと、この靴こそが巡礼証明書より、何よりの巡礼をした証なのかもしれないなと思った。
なんだか到着した時や記念撮影をした時に、正直あまり高まるような「感動」や「感激」というものはなかった。でも、「無事に到着したよ」とハンギョちゃんや家族に連絡を入れた時に「そうか、わたしはひとまずサンティアゴまで歩き切ったんだな」とひしひしと実感した。そしてまずはサンティアゴまでしっかりと歩き切れたことに、安堵したのだと思った。
そのあとはフィニステーラ・ムシア用の巡礼事務所があくまでの間、また記念撮影をして過ごした。
そして、日本人の彼と少し雑談をしていると「あれ、韓国カップルじゃない?」と。
彼の指差す方向を見てみると記念撮影をしている彼らがいた。「おめでとうを言いに行かなきゃ!」と思い、立ち上がって彼らの方に向かっていくと、一般観光客に「記念撮影して〜」と無事に捕まった。笑 といことで、歯痒いなと思いつつもしっかりと色んな角度で記念撮影をしてから彼らのところに行った。
すると彼女の方が泣いていた。彼らは巡礼の後半で足を痛めていたというのもあるし、きっと募る想いがたくさんあったのだろう。
そして声をかける。お互いに「おめでとう」を言い合ってからこれでもかというくらいハグをしてお互いの健闘を称え合った。彼らとはスタート日から一緒で、初日のピレネー越えの際にチョコレートを一欠片もらったところから始まった。そのあとは偶然、巡礼路で巡り合ったり、宿が同じになったり、夕食を共にしたりしてきた。とっても優しくて人情溢れる彼らのことがわたしは大好きで、カミーノの中での家族に近い存在だった。そんな彼らとこのゴールした瞬間を分かち合えたのはとっても嬉しかった。
そしてお互いの携帯などで記念撮影をした。
そして記念撮影を終えた後に「わたしはまた明日から歩くよ」と言ったらとっても驚いていた。笑(「強いね〜」と言っていた)
そして彼女があまり英語が得意ではないというこので、翻訳機を使って少しヘンテコなカタコトの日本語訳で「もう少し英語が話せればコミュニケーションが取れるけれど、明日からの旅が良いものになることを祈っているからね。くれぐれも身体には気をつけてね」と伝えてくれた。本当に優しい人達だ。そして最後にもう一度ハグをしてから彼女がわたしの手の甲にキスをしてくれた。そして最後にみんなで「ブエンカミーノ!」と元気に言ってからお別れをした。
そのあとは、ちょうど巡礼事務所が開いた時間帯だったので再度向かうことにした。
やはりフィニステーラ・ムシアに向けて歩く人はあまりいないのか、オフィスには巡礼手帳を貰う人はわたし以外に誰もいなかった。(まぁバスに乗れば1時間ちょっとで行けちゃうしね…笑)ともあれ、無事に巡礼手帳をゲット。これで明日からもう少しだけ巡礼延長だ。
そして延長確定してからはチェックインには少し早いが一旦宿に行き、荷物だけ置かせてもらうことにした。
そのあとは12時からのミサの前に朝食を摂った。お腹が空いていたので"いつもの"ではなくツナの入った大きなパンにした。笑
そしてお腹が満たされてからはミサに参加するために大聖堂に向かった。
にしても、お祭りの翌日(?)か何かで街の店は結構閉まっているにも関わらず昼前になると大聖堂の前はかなり混雑していた。(さすがキリスト3大聖地)
やはり早めに到着しておいて良かった。
そしてそのあとは行列に並んでから無事に大聖堂の中に入り30分程ミサが始まるまで待機した。そして、お腹も満たされて、良い感じに睡魔がやってきたタイミングでミサが始まった。
ちなみに、サンティアゴで毎日12時に開かれているミサでは、その日の11時までに巡礼事務所で証明書を発行してもらった人の国名とスタート地点を読み上げてもらえる。しかし、スペイン語での読み上げだったので結局、いつ日本が読み上げられたのかはよくわからなかった。笑 ともあれ、たまに意識が飛び立つもしっかりとミサに参加できて良かった。前回のカミーノの時よりもミサの神聖さを感じられたような気がした。
そのあとは少し早かったものの宿に行きチェックインをさせてもらった。今日のお部屋は4人部屋で半個室だ。祝日(?)ということもありなかなかの値段だったけれど、大聖堂からもそこそこ近いし、今日くらいはゆっくりしようと思う。
無事に本日のベットを確保してからはシャワーを浴びた。洗濯は残念ながら干す場所がなかったので明日の宿で洗うことにした。
そしてお腹が空いたのでGoogleマップで営業中になっていた近くのスーパーに行ってみた。すると、しっかりと閉まっていた。やはり、休日や祝日は問答無用にスーパーは全て閉まってしまうらしい。笑
ということで、近くの果物屋さんが開いていたので明日の朝食べるものでも買おうと思い入ろうとしたら…韓国のチャンヒャンに遭遇した。彼は3日前にサンティアゴに到着したらしいが、これから初めて大聖堂に向かうらしい。理由を聞いてみると、お祭りで人が多過ぎて大聖堂にいけなかったらしい。なんだかサンティアゴに着く日の天気が晴れであることも重要事項だが、同時にお祭り日等を避けるようにする必要もあるんだなと思った。
そして、彼と別れてからは果物を買って、宿の近くにあったケバブ屋さんでテイクアウトをしてから宿に戻った。
早速テイクアウトしたケバブセットを食べる。
かなりボリューミーなケバブにポテト、そしてコーラというなんともアメリカンな食事になってしまったが、とってもおいしかった。何度も思うが、本当に胃腸が復活してくれてよかった。(最近は何を食べても美味しい)
そのあとは少しだけお昼寝をしたりブログを書いたりした。そしてどうやら街の中におにぎり屋さんがあるようなので散歩がてら買いに行ってみた。するとしっかりと閉まっていた。笑(Googleマップは営業中だった)やはり祝日はみんなお休みをするらしい。
ということで特に何も買わなかったが、近くにあったアジアンマーケットを覗いてから宿に戻ることにした。(念願の納豆が売っていたけれど、3個も食べられないから断念した)
そして宿に戻ってからはコーラを飲みながら明日以降の巡礼予定を確認したりした。
改めてになるが、ひとまず今日でひとつの大きな目的であったサンティアゴに向けての巡礼は無事に(?)幕を閉じた。そしてここからは4日間でスペイン最西端のフィニステーラ、プラス1日でムシアに歩いていく。わたしの最終地点はあと117kmだ。明日からは巡礼者もほとんどいなくなるはずなのでゆっくりと自分と向き合いながら歩いていこうと思う。
ということで、後5日間の巡礼を楽しみたいと思います!それではブエンカミーノ!