とある日の朝陽

大学4年生のときにも一度歩いたことのあるスペイン巡礼。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す巡礼の旅だ。30歳を前に新卒で入社した会社を辞め、2ヶ月間の休暇を使ってふたたび歩くことにした。そんな2度目の巡礼での、とある日の些細な出来事を綴る。

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この日は、暖かい朝陽を浴びながら歩いた日だった。いつも通り、夜明け前から歩いていると徐々に辺りが明るくなり始めた。マジックアワーだ。ここから日が昇るまでは本当にあっという間で、この地が今日も始まろうとしているのを感じられる瞬間が好きだ。

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これから昇ってくる太陽の光を先に大地が染め上げるほんの僅かな時間。ちなみに、マジックアワーは和名で「薄明(はくめい)」と呼ぶらしい。薄く長く伸びる明かりがカミーノの大地をどこまでも染めていく。

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暖かな色味と、それが醸し出す空気感、そして巡礼が相まって、日常世界とは切り離された、でも寂しくはない、不思議な場所にいる気がした。

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そんな空間を歩いていたら、なんだか今日も良いことが起こるような気がした。そして、その予感は当たっていたのだと、その後すぐに答え合わせのような出来事が起こった。

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朝日が気持ちよかったので、テラス席で朝陽を眺めながらゆっくりと朝食を摂っていると、巡礼中の日本人女性に遭遇。

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その方が私の存在に気づいて声をかけてくれた。素敵なこの空間で、慣れ親しんだいつもの言語を使って過ごせたことがすごく嬉しかった。そして、この後は、滞在予定の街まで巡礼路を共に歩いた。きっと、朝陽が素敵な出会いを運んでくれた日だったのだろう。

それでは、また。