では、巡礼19日目について綴ります。
昨夜はわたし含めて2人しか部屋にいなかった。なので「これはとっても快適な睡眠が取れるぞ…!」と喜んだのも束の間、同部屋の人がドデカいイビキをかきはじめた。笑 いづれ寝られるにしても、ひとまず「この試練に対してどう対処するかな〜」といった感じで考え始める。ダメ元で何度か軽く咳払いをしてみた。しかし効果は今ひとつのようだった。対処法を考えているうちに「そういえば、イビキのメカニズムってなんだろう…」と考え始めてしまい、目が覚め始めてしまった。笑
ということで、ヒーリングミュージック(眠くなる曲)をYouTubeで流して寝ることにした。その後はとくに暑くて起きるなどもなく快適に寝ることができた。
翌朝は目覚ましとともに起床した。同部屋の人もすでに起きていたので電気をつけて部屋でパッキングを始める。ある程度の準備が終わってからは、少しだけ胃がムカムカしたので軽めにバナナをひとつだけたべた。
そして6時頃に宿を出発。
遠くの方の空が、かすかに明るくなっていた。今日もあっという間に明るくなるんだろうなと思いつつ、歩き出す。
最初の巡礼路は車道沿いの道だった。早朝からわりと車が走っていて「車のライトが眩しいな…」と思いながらヘッドライトで足元を照らしながら歩いた。
そして30分ほど歩いたところで、今日もマジックアワーが綺麗に出ていたので一枚パシャリ。
そしてそこから20分ほどでヘッドライトもいらないくらいに明るくなった。
もう何も踏み潰す恐れのないくらいに視界が良好になったので、ライトをザックにしまい変わりにカメラを取り出す。
そこからは年季の入ったモホンを撮影したり、
若手のモホンを撮影したりしながら歩いた。
そして、歩き始めて1時間半ほどしたところで一つ目の町が見えてきた。
そういえば、ここら辺では近くにいた巡礼者がずっと電話をしながら歩いていたのだが、ペースがほぼ同じだったので「なんだか通勤途中みたいだなぁ笑」なんて思いながら歩いた。
と、まぁそんな感じで通勤巡礼をしていたら、 一つ目の町、Puente de orbigo(6.8km)に到着した。
そしてちょうど、朝日が昇った。
そういえば前の会社に勤めていた時は時差出勤をしていたので「時期によってはこんな感じで日の光を浴びながら出勤してたな」なんて、ふと思った。
そして、町に着いてからは、中へ進んでいくと大きな橋が掛けられていた。
オルビゴの橋だ。
前回ここを通った時は日中で、かなり歩いた後だったからか、このゴツゴツした地面に苦しめられた記憶がある。笑 今回は朝イチだったので、そこまで苦しめられることもなくスタスタと歩いていく。
ちなみにこの橋は『名誉ある足跡の橋』とも言われているらしく、とある姫の恋の虜となった騎士が愛の証として9人の騎士と共に、1ヶ月間この橋を誰も渡らせないか3000本以上の槍を折ると宣言して、見事達成した場所らしい。
にしても「なんで、橋を渡らせないことが愛の証だったんだろう。まぁ、愛の証明の仕方も…人それぞれなんだな笑」なんて考えながら特に騎士に切られることもなく普通に渡った。(現代でよかった)
そして渡った先に、良い感じに陽に照らされたテラス席が見えた。何人か巡礼者もいるようなので、少し早いがここで、朝食休憩を摂ることにした。
早速、お店に入りテラス席の脇にザックを置き席を確保する。そして、カウンターで最近安定になりつつあるトーストと、今日はホットココアを注文。お会計を済ませ、トーストが出てくるのを待っていると…
韓国のカップルとその他一同(6人くらいで行動してるらしい)に遭遇。思わぬところでの再会で、とっても嬉しかった。彼女さんも「おお!マユコー!」とハグしてくれた。
そして、テラス席に食事を持って行くと、わたしの席に若い女の子が2人座っている。(荷物置いてても関係ないんだな…)まぁ、座られてしまっているものはしょうがないので、別のテラス席に食事を置き女の子の椅子の脇においていたザックを移動させる。
移動させる時もとくになんの反応もなくガールズトーク(シリアスそうなやつ)に夢中になっていて、なんだか少しだけ苦笑いした。笑
ともあれ、まずは朝日を浴びながら食べるこの朝食を楽しむことにする。
わたしの周辺のテーブルには韓国のカップルとその他一同がいて、ワイワイしながら朝食を摂っていたので混ぜてもらった。
トーストを食べている時は、彼氏さんがバナナをひとかけらくれたり、琵琶湖の写真を見せてくれたり、韓国人のお父さん的存在の人が若者2人に「うまいか?」と聞いていたり、ここのグループはいつお邪魔してもなんだか本当にホッコリする。
そんな温かい雰囲気のなか朝食を食べ終え、しっかりと休息もできたので出発することにした。韓国グループも同じタイミングで出発だったようで、少しの間一緒に歩いた。
そして彼らの歩いている風景をみていると、なんだか本当の家族みたいで、あの若者2人はこのカミーノでとっても大きな出会いだったんだろうなと思う。
そして二つ目の町、Hospital de orbigo(0.4km)に到着。
この町は、前回のカミーノで滞在した宿がある。確かその時は、ベットバグが落ち着き始めた頃で、でも次は謎に足の甲が腫れた時だった。笑 そんな記憶を振り返りながら歩いていると、滞在した宿の入口を発見。
記念に一枚パシャリしておいた。(中に入ると、ジブリで出てきそうなおしゃれな空間になってる)
そしてそのまま歩き続ける。すると、次は緑生い茂る日本の畑のような巡礼路に出た。
メセタの麦畑を抜けて、これからは緑生い茂るゾーンに入ったのかなぁなんて思いながら歩いた。
にしても、なんとなく日本の田舎道に似ていて、どこか懐かしさがあった。
そして背の高い木々を抜け
その先に三つ目の町、Villares de orbigo(2.6km)があった。
この町は、なんだか町中に旗がたくさんかけられていて、お祭りムードといった感じだった。でも、そんなに大きな町ではないようで、歩いているとすぐに町の端っこの方にきた。すると…
なんだかすごいファンキーな置き物(?)が置いてあった。「いくらお祭りムードとは言ってもこの町の雰囲気にはちょっと過激すぎじゃない?」なんて思いながら一枚パシャリした。
そして、そんなファンキーな置き物を通過するとすぐに赤土の大地になった。(ギャップがすごい)
久しぶりの車道以外の道になんだか、テンションが上がる。にしても晴れていてよかった。
なぜかというと、カミーノガイドブックによるとこの赤土は濡れるとかなりの泥道になり歩くのがかなり困難らしいからだ。笑
ということで、恵まれた天気に感謝しながら歩く。そして、ファンキーな町を抜けてから40分ほど赤土を歩いたところで、四つ目の町、Santibanez de valdeiglesias(2.4km)に到着した。
この町を抜けると次の町までは約8km歩くことになる。なのでベンチで少しだけ休憩&靴下交換することにした。
そして座っていると、少し遅れて韓国グループがやってきた。そして彼らもわたしの近くで少し休憩を始めた。韓国の方々も結構こまめに写真や動画を撮っているようで、謎にわたしの写真もめっちゃ撮ってくれた。笑(今度、共有してくれるらしい)
そして10分もしないくらいの休憩でまた歩き出すことにした。すると、彼らも同じタイミングで歩き出したのでまた少しの間、一緒に歩いていく。
町を抜ける直前に綺麗にお花が咲いている場所があった。韓国の彼女さんがお花が好きなのか、見つけるとよく写真を撮っていて彼氏さんに「そこに立って」と指示を出していた。グループの他メンバーも何人か一緒に撮影していたので、わたしも一眼レフで一枚シャッターを切る。
するとグループのうちの1人が、私が持っていた一眼レフで「代わりに写真を撮ってあげるから入りなよ!」と。ということで、お言葉に甘えて撮ってもらった。
なんだかとっても良い写真なんだけども、一体ここはどこだ。笑 という感じ。どことなく面白い。ともあれ、思わぬところで良い記念写真を手に入れられて嬉しい。
そんな喜びの余韻に浸りながら歩いていると、すぐに町を抜けた。そして農場があった。前回もここで牛の写真を撮ったなぁなんて思い出しながら、またも牛さんをパシャリ。
ちなみにこの時近くに子猫がいて、アントニオ君が触ろうとして近寄ったら逃げてしまってみんなで笑った。笑
そんなささやかなエピソードがありつつも、またみんなで歩きだす。にしても韓国カップルがとってもお似合いでなんだか微笑ましい。
しかもとっても優しくて気さくなお二人。いつまでも幸せでいてほしいなと心から思いながらシャッターを切った。
そしてそのあとはまた各々のペースで歩いた。
少しだけ丘を登ったり、登ったと思ったら降ったりを繰り返しながら黙々と次の町に向けて歩いていく。
今日はあまり休憩をとっていないからなのか、それとも久しぶりに人と歩いたからなのか、少しだけ足腰に疲れが出始めている。「次の町で休憩したいなぁ」なんて思っていると、なにやら人だかりが。
突如オアシスのような場所が現れた。中を覗いてみると、寄付制で色んな食べ物や飲み物が置かれていた。
スイカや桃をはじめとしたフルーツやナッツやビスケットなどのスナック。カットレモンが入った冷たいお水など、身体を癒す食べ物がたくさん置かれていた。(しかも随時補充してくれる)
歩き疲れている巡礼者にとって、この場所は間違いなく憩いの場だ…なんて思いながら少しだけわたしも休憩させてもらい、スイカを2切いただいた。
そして元気になったのでまた歩きだす。
少し歩くと木製の十字架の下に若手のモホンがいた。左に向かって矢印が伸びているので指示通りに歩いていく。近くには子連れの巡礼者やご年配巡礼者グループなどがいて、なんだか楽しそうに歩いていた。
歩いていくと、先ほどよりもかなり大きな(しかも石でできた)十字架が現れた。
その先には町が見えるので、おそらくあれが本日滞在する予定の町、Astorgaだ。
十字架を通り過ぎるとすぐに降り坂になっていて、一気に降りていく。 にしても、やはりコンクリートは固い…。
降り終わると、水道脇に喉を潤す巡礼者像があった。しかもこの水道…何故か水が出なくて「この巡礼者像は喉を潤しているんじゃなくて、最後の一滴をなんとかして飲もうとしているのでは」と勝手に想像を膨らませながら写真を撮った。
と、まぁそんな感じで疲れあり、癒しあり、想像ありで歩き続け、五つ目の町、Sun justo de la vega(7.9km)に到着した。
ここの町からは、すでに滞在予定の次の町が見えてはいたものの靴下交換とショートブレイクをしたかったので、ベンチで少し休憩することにした。
日陰で休みながら靴下を交換する。やはり、靴下を履き替えるととっても気持ちがリフレッシュされる。(あと清潔キープできる)
ということで、10分ほどベンチで休憩をした後に、滞在予定の町に向かって歩き出した。最初は道路沿いを少し歩いた。
そして右側の砂利道に道が反れて建物の裏?のようなところを歩いた。
すると、あっという間に六つ目の町、Astorga(3.6km)まで到着した。
しかし、町に入るには線路を渡る必要がある。そして、その方法というのが…
この鉄筋だ。この鉄筋が傾斜を低くするためなのか何度も何度も折り返して登っていくので地味にしんどかった。笑 しかし登り切ると町が一望できて、なんだか眺めが良かったので登った甲斐があった。
そして無事に線路を渡り終えたあとは、後少しの距離にある宿に向かう。しかし、後少しで宿に着くというところで謎の鬼傾斜があった。笑 まぁ、傾斜は登山で慣れているのでゆっくりと登り切り無事に宿に到着した。
今日は本当は別の宿にしようと思っていたのだが、どうやら韓国グループがこの宿に泊まるようだったのでなんとなく同じ宿にしてみた。すでに宿は開いていたので受付をしてもらった。そして宿を簡単に案内してもらった後にベットへ。(今日はベットは指定だった)
下の段になったのは嬉しいのだが、上の段の女の子(朝食のテラス席でガールズトークしてた子)がザックをベットに立てかけるのが…気になる。何度も、ザックを離すものの立てかけられてしまう。(プロテクトバグー!)これは長期戦になりそうだな…と思いつつ、とりあえずシャワーを浴びることにした。
そしてシャワーを終えてから洗濯をしにいくと、韓国のユンと最初の方の宿で夕食を共にした台湾の方が。「久しぶりー!」という感じで再会を喜び各々の洗濯に取り掛かった。
そして、そのあとは近くのスーパーに昼ごはんと翌日用にフルーツ買いに行った。最近サラダを食べてなかったのでサラダを買い、どうしても日本のお米のようなものが食べたくて、レンチンの小パエリアを買った。
久々にボリューミーなお昼ご飯だった。笑 でも、馴染みのあるもの(?)はやはり安心するし何より久々の炊いた感じのお米に感動。(グリンピースを避けるのは大変だったけど)
そのあとはベットで30分くらいうたた寝をし、明日の行程を確認したり、ブログを書いたりしていた。すると韓国カップルの彼氏さんが部屋まで来てくれて「よかったら夕食を一緒にご飯どう?」と。わざわざ部屋まで呼びにきてくれて、本当に彼の優しさは…もはやヤコブかて。(知らんけど)
そしてキッチンに行ってみるとすでに料理が出来上がっていた。
しかも席もビールも用意されていて本当に何から何まで彼らの優しさには頭が上がらない。ちなみに今日のパスタソース2種類はアントニオ君とハァプ君が使ってくれたらしくて、とっても美味しかった。
そんな感じで賑やかな夕食を過ごさせてもらった後は、みんなで大聖堂(カテドラル)を見学しに行った。
途中にアイスクリーム屋さんがあって、韓国の彼がみんなにアイスをご馳走してくれた。「もう…彼には…宝くじでも当たってくれ」と思う。
そのあとはみんなでアイスを食べながら大聖堂に向かい各々写真を撮った。
そしてたくさん写真を撮れたので、また宿に向かって歩き出す。帰りがけにチョコレート屋さんを発見したので一枚だけ小さいチョコレートを購入した。
ちなみに『どうして、いきなりチョコレート』なのかというと、ここアストルガは、チョコレートが有名だからだ。大航海時代?にカカオがスペインに初めて輸入されたのがアストルガらしい。そしてアストルガにチョコレートの工場が作られ、有名になったとか。(チョコレート博物館とかもある)
ということで、明日からの行動食としてチビチビと齧っていこうと思う。
そして宿まで戻ってきたところで、目の前に良い感じの公園があった。みんなで行ってみると…
とっても景色が綺麗だった。ちなみにこの時にアントニオ君とハァプ君は水を掛け合って鬼ごっこしてた。笑
そして少ししてからみんなで宿に戻った。宿についてからは韓国の彼に再度「アイスありがとう」とお礼を伝えてから寝る支度をして床に就いた。
明日は久々の標高差がある山登り。宿は6時に解錠される(またも一時的に囚われの巡礼者)らしいので6時から歩き始めようと思う。
そういえば、ここから日本の距離が記載された看板があったんだけど、記載されている中で一番遠かった。笑
「随分と遠くにきているんだなぁ」なんて少し他人事のように思った。
ともあれ、今日で歩き始めて500kmを超えた。ひとまずのゴールは後少し。明日も元気に歩きます。それでは、ブエンカミーノ!